Roasting

コーヒ豆には数百といわれる成分が含まれています。その生豆に火を入れる事でそれぞれの成分量が増減したり、変化を起こして新たに生成される事で特徴のある香味が作られていきます。その特徴ある香味はコーヒー豆の種類だけ無数のオリジナリティに溢れています。

それぞれの生豆が持っている成分を香味に変化させる加熱作業が焙煎であり、焙煎士はコーヒー豆ごとに意図的にコントロール出来る焙煎プロファイル(加熱条件)を持っています。

焙煎前に決める商品コンセプトは出来る限り具体的に描きしっかりと決めるように特に大切にしています。
それは、煎りたて直後の味はまだ落ち着いていませんが、焙煎数日後〜数週間にかけて徐々に落ち着きを増していきクリアーさと深みの調和が取れた丁度いい味わいが向かえられる様になります。

お客さまに渡ってからが ”ちょうどいい” が味わえるのですが、それが本当に描いた通りになっている事が大切と考えます。


商品コンセプトを実現するために使用する焙煎機は由緒あるドイツのプロバット社製を使用しております。


昨今、焙煎する新しいツールは非常にたくさん登場しているのですが、なぜプロバットか?


きっかけは、以前からいろんなお店の多くの豆を飲むうちにどの様な焙煎機で焼かれた豆か?非常に興味が湧いていました。


美味しい豆はたくさんありましたが、とりわけ特に私好みの多くはプロバットで焼かれたものがたまたま多かったのです。

プロバット社製焙煎機の特長の一つに高品質な鋳鉄が釜に使用される事で蓄熱性に優れ、熱が均一でムラのない焙煎が実現でき、表現できる幅が非常に広がるという事があげられます。

しかし実際はそれを扱う人によってコーヒーの風味は全く異なってきます。また味作りへのアプローチもそれぞれであり一概にどの焙煎機が良いとも単純に割り切れるものでもないでしょう。


焙煎人の数だけ彼らの哲学があり、同じ豆・同じ焙煎機で仕上げたとしても焙煎プロファイルが異なるため、違った味わいとなります。

そこが凄く面白いところでもありますので、もしお客さまにお気に入りのコーヒー店があるとすれば、それはその焙煎士の哲学をもお気に召された事だと思います。

当店と同じ生豆、同じ焙煎機を使用されている世界中のロースターは他にもあると思いますが、”味”については同じものはよそには無く、私が焙煎したコーヒーはここにしかございません。

ですから、私らしい”味”と言える焙煎を続けていこうと思います。

そして、コーヒー作りの世界も例外なくデータとテクノロジーが駆使されてきています。

品質の向上と安定化に貢献して今後も更に進化を遂げていくでしょう。
変化するコーヒーの未来に備えて、お客さまがその変化に取り残される事がないように私も順応していく事を心掛けて参ります。

焙煎の要素について、“ 1,データ分析・2,デジタルテクノロジー・3,焙煎技術・4,人の感性 ”と何か一つが突出するのではなく、これら全ての合計によってコンセプトの味作りが実現されるように努力いたします。

「デジタルとアナログ」それぞれが同じ力で均等にロープを引っ張って丸くバランスが取られているようなイメージを持ちながら、これからも焙煎作業を楽しんでいきたいと思います。